2016年10月26日水曜日

ECIプレス10月号


UNESCO、神殿の丘はユダヤ教とは関係がない決議を可決
EU議会、反対に失敗

【2016年10月26日 ブリュッセル】 国際連合教育科学文化機関であるUNESCOは、ユダヤ教の聖地である神殿の丘は、ユダヤ人にとってもクリスチャンにとっても無関係であるとする決議を、二週間も満たない間に3回の決議で可決した。

21カ国* で構成されるUNESCO世界遺産委員会(WHC)の1回目の決議がなされたあと、バン国連事務総長、イリナ・ボコヴァ国連教育科学文化機関局長が、神殿の丘はイスラムだけでなく、ユダヤ教、キリスト教、皆に重要な地と認識すべきであると公に反対意見を表明していた。

にもかかわらず、第40回世界遺産委員会で、19日水曜日の朝に「イスラムのエルサレム」報告書が正式に承認されたのである。秘密投票で、この決議に反対を表明したのは21カ国中、わずか2カ国だけであった。ジャマイカは欠席し、棄権。19日付のメディアレポートによると、世界遺産委員であるEU加盟国の4カ国(クロアチア、フィンランド、ポーランド、ポルトガル)は、早い段階で欠席を表明していた。

「イスラエルのユダヤ人にとってエルサレムの神殿の丘が歴史的に聖なる地であることは明白であるが、過激派の圧力によって否定する力が強くなっている。今日、エルサレムのユダヤ人の存在を無視するUNESCOの決議を承認することは、未来のない決定と言えよう。これは民族の歴史とアイデンティティを否定する単なる政治的民族浄化の残虐行為に過ぎない。」と19日の承認後、トマス・サンデルECI創設者は語った。

今年7月にイスタンブールで行われたWHCの年次総会でこの問題が初めて取り上げられてから、ECIは注目してきた。投票はトルコのクーデター未遂事件のために、10月に延期しなければならなくなった。

「国連制度を信頼する者にとってこの承認は誠に失望します。」とサンデルは語った。「この歴史的事実を政治的に捻じ曲げた国連決議に、今後真剣に国連決議をどう行け止めたらいいのでしょうか。」

「これは明らかに世界でどの国がイスラエルの友であるかは明白です。この決議を受け入れる責任がどのようなものであるか理解している政府であるならば、歴史からユダヤ民族を抹殺しようとする主張を受け入れることにつながるものであることが分かるでしょう。」とサンデルは警告した。

* UNESCO世界遺産委員会(WHC)21カ国:アンゴラ、アゼルバイジャン、ブルキナファソ、クリアチア、キューバ、フィンランド、インドネシア、ジャマイカ、カザフスタン、クウェート、レバノン、ペルー、フィリピン、ポーランド、韓国、チュニジア、トルコ、タンザニア、ベトナム、ジンバブエ



2016年10月18日火曜日

ECIプレス10月号


ECI、ユネスコの採択に反対で国連事務総長と一致
―決議案は欠陥があり国連のシステムの信頼を損なうもの

2016年10月17日【ニューヨーク】 国連事務総長のオフィスでの私的会談で、イスラエルのためのヨーロッパ連合は、エルサレムの聖地とユダヤ人のつながりを否定した最近のユネスコの決議案を非難した。

会談の中で、エドモンド・ミュレ官房長(写真)はパン・ギムン事務総長は、木曜日に採択されたユネスコの決議案に深く失望していたことを明言した。日曜日、パン・ギムン事務総長は、神殿の丘はユダヤ教徒にとってもキリスト教徒にとっても聖地であり、聖地ついて疑う余地のないこの共通認識を否認することに同意することは、平和に貢献するものではなく、ただ暴力と過激主義を増長させるだけのものだとの公式声明を発表した。そして関係者全てにエルサレム旧市街の聖地のつながりに関してこれまでの認識を支持することを求めた。

この決議案は世界中のユダヤ人コミュニティーに大きな騒ぎを巻き起こし、ユネスコのイリナ・ボコバ事務局長自身もまた、この決議案は事務局長に支持されたものではなく一部の加盟国によるものと明言、この決議案を快く思っていないとの声明を公式に発表した。

2011年、パレスチナ自治政府がメンバーシップの基準を満たしていないにもかかわらずフルメンバーとして受け入れられた時、最初、ECIは国連の教育科学文化機関が乗っ取られる危険性があると警告した。以来、パレスチナ自治政府はイスラエル国家に対する政治的復讐を始めることで、ユネスコを自らの政治目的のために悪用している。

執行委員会はすでに、4月にエルサレムの神殿の丘とユダヤ人とのつながりを否定する決議案を出していた。これは数カ月後の7月にイスタンブールで行われたユネスコの世界遺産委員会でも提出されたが、未遂に終わったトルコの軍事クーデターのため延期された。新しい採決は10月26日にパリで行なわれる。

「3000年にわたるユダヤ人とエルサレムのつながりという歴史的事実を否定する政治化された決議案は国際システム上の信頼を損なう危険がある。」とECI創設責任者のトマス・サンデールはニューヨークで警告した。

「もし不審な政治目的を達成するために歴史的な事実を変えられるというのなら、すぐにでもサン・ピエトロ大聖堂とクリスチャンに一切の関わりを認めない決議案を出すことができるだろう。もしこのような論理に従うなら、次のステップとしてイスラム教とメッカのいかなる関係をも否定すべきだ。

「しかしながら、文化的対話と協調の育成が設立目的の国際機関にすべての避難を浴びせる代わりに、我々は、この決議案を選択した24の国連加盟国と棄権した26の加盟国が自分の行動に責任を取るようにする必要がある。」(この決議案に反対したのはわずか6カ国だけだった。※)

「ユネスコは、歴史的な修正社会主義の舞台になるべきではなく、対話と協調の場となるべきだ。」とサンデールは結んだ。

「この扇動的なユネスコの決議案は、先週祝われたユダヤ教の祝祭日ヨム・キプール(大贖罪日)を国連が認めたような前向きの歩みに影を落とすものだ。」とECIの国連機関ディレクター、グレゴリー・ラフィティは評した。

「良い知らせは、国連事務局が現在公式にユダヤ人の文化と人類への貢献を公式に認め、尊重し始めたことだ。ユネスコの執行委員会のわずか24のメンバーが支持しただけの、欠陥のある決議案に全てのメディアが注目していることは遺憾である。我々は、ユネスコ決議案の否定的な結果を否定するべきでない、国連においてイスラエルがその素晴らしい貢献のために高く認識されているという事実を奪われるべきではない。」と述べた。

ECIは2013年から働きかけてきた国連で初めてヨム・キプールが公式に祝われた2日後の10月14日金曜日、国連事務総長のオフィスに招待された。

「我々が国連で最も高い地位にあるオフィスに招待されたことは2013年に立ち上げた文化的外交のためのフォーラムの働きが認められたことをも意味する。」とラフィティは結んだ。

※2016年10月13日のユネスコの執行委員会の投票結果

支持:アルジェリア、バングラデシュ、ブラジル、チャド、中国、ドミニカ共和国、エジプト、イラン、レバノン、マレーシア、モロッコ、モーリタニア、メキシコ、モザンビーク、ニカラグア、ナイジェリア、オマーン、パキスタン、カタール、ロシア、セネガル、南アフリカ、スーダン、ベトナム

反対:エストニア、ドイツ、リトアニア、カメルーン、エルサルバドル、フランス、ガーナ、ギリシャ、ギニア、ハイチ、インド、イタリア、アイボリーコースト、日本、ケニア、ネパール、パラグアイ、セントクリストファー・ネービス、スロベニア、韓国、スペイン、スリランカ、スウェーデン、トーゴ、トリニダード・トバゴ、ウガンダ、ウクライナ

セルビアとトルクメニスタンは欠席。

2016年10月14日金曜日

ECIプレス10月号


ECI、イスラエルの強いパートナーシップをアピール

【ワシントン 10月12日】 10月6日夜、米国ワシントンにあるECI系列の組織に、イスラエル支持への強いパートナーシップをアピールした。

「ヨーロッパは急増する反ユダヤ主義に対して戦うには初歩の段階です。しかし止めるわけにはいきません。現在のユダヤ人そしてイスラエル国家に対する嫌がらせは世界的な現象だからです。」と、トマス・サンデルECI創始者は11日の記者声明で語った。

特に、新たなる形態でのユダヤ人に対するBDS(イスラエルのボイコット運動)について述べた。BDS運動は英国などの国会議員らが非難し、フランスの最高裁判所が国際貿易法違反であると明示している。

サンデル氏は、ヨーロッパのユダヤ・コミュニティ機関や、現在の民主主義国家イスラエルだけでこの問題を取り上げているのではないと語る。EUの統計によると、欧州のユダヤ人人口は、1991年の20万人から2010年には14万人にまで減少している。昨年は数十万人ものユダヤ人が欧州から離れ、イスラエルに移住した。

2週間前には、欧州議会でユダヤ人コミュニティの将来として、ブリュッセルで特別会議を組織し、幾人かの講師は欧州で起こっている急増するユダヤ人への脅かしは新たなる出エジプトであると警告した。

会議では、前英国主任ラビであるヨナタン・サックス氏が、「反ユダヤ主義は時代に沿って、様々な形に変化することを理解していない。」と欧州のリーダーらを責めた。氏が語るには、「中世においては、ユダヤ人とはユダヤ教であるがゆえに嫌われ、19世紀と20世紀初頭では、ユダヤ人はユダヤ人であるがゆえに嫌われ、今日では、ユダヤ人国家があるがゆえに嫌われている。反ユダヤ主義は時代によって形は違うが、ユダヤ人は自由に存在し、人類平等である権利がないという反ユダヤ主義の観点は変わらない。」と説明した。

「このような反ユダヤ主義の形態は欧州だけに限りません。」とサンデル氏は警告した。「米国、そして他の国々でも同じような現象が起こっているのです。ある時は、人道擁護という名の水面下に身を隠しています。しかしながら、イスラエルは今日、中東諸国の中で唯一、基本的人権と自由の法律を完全に持つ国家として存在する一方で、あるクリスチャンの団体を含めた西側諸国によるボイコットの矛先が向けられているという矛盾が起きています。

「クリスチャンはこの事実を捉え、良きに計らうべきです。ある運動家が『ユダヤ人から購入するな。』と叫んだなら、問題が間近に存在することを理解するのです。」とサンデル氏は警告した。

「イスラエル支持に立つことは、ECIが、パレスチナ人の法的権利を無視するものではありません。過去において、欧州の地方大学でパレスチナの人権擁護に関するイベントを開催してきました。今日、パレスチナ人たちが直面する、イスラエル当局からだけでなく、パレスチナの政治指導者から受ける問題を取り上げ、その関心を高めました。」

「欧州がイスラエルを最良の友と思っていなくても、ユダヤ人がボイコットされ、欧州でテロのターゲットになっている時に、我々は時に間に合って、イスラエル擁護の発言と行動を取るべき歴史的責任を負っているのです。そして、世界の中で、我々は、自由、憐れみ、思いやりに価値を置く人々と共に立ち上がる必要があります。それゆえに、アメリカの姉妹団体が我々には必要なのです。」とサンデル氏は説明した。

この新しいECIの組織はワシントンDCを本部に置くが、主な活動はニューヨークの国連本部にある。ブリュッセルにあるEUとニューヨークとジュネーブにある国連での政治活動を舞台とし、欧州、アメリカでの反ユダヤ主義と戦うためにパートナーシップを組むのである。